2014年12月11日木曜日

離婚せず別居生活するメリットと欠点

夫婦間の仲が悪くなった場合、すぐさま離婚するのではなく、別居するという方法も考えられます。別居生活の場合には、離婚には無いいくつかのメリットと欠点があります。

まず、別居生活のメリットとして挙げられるのが、婚姻費用が貰える事です。婚姻費用とは、夫婦で生活するために必要な費用(衣食住や養育費など)を指す概念です。この婚姻費用は、夫婦の収入に応じて分担しなければならないと、民法第760条で定められています。一般的に、夫は妻よりも収入が多いので、妻は夫から婚姻費用が貰える事になります。故に、たとえ別居中であっても、夫婦の婚姻関係が続いている限り、婚姻費用は受け取れます。

離婚してシングルマザーになる一番の欠点がお金の問題です。シングルマザーの平均収入はわずか181万円しかなく、この少ない生活費では、子供を育てていく事は困難です。離婚して夫から養育費(親が子供を育てていくために支払われる費用)を貰う方法もありますが、養育費は子供の数やお互いの収入から相場が決められており、これを大きく逸脱した金額が貰える事はありません。一般的なサラリーマンの夫(年収約400万円)から、15歳未満の子供を一人持つ妻(平均年収181万円)が貰える養育費は、月額概ね2~4万円しかありません(養育費の相場と現状)。

その点、婚姻費用の金額は、上と同じ条件だと約4~6万円になります。養育費はあくまで子供を養うためのお金ですが、婚姻費用は妻の生活費も含まれるため、その分金額も多いというメリットがあるのです。詳細は、以下の養育費・婚姻費用算定表から確認出来ます。

【PDFファイルなので注意!】
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf


とはいえ、夫が婚姻費用を支払ってくれないケースもありますし(家庭裁判所に申請する事で履行勧告や強制執行が行えます)、そもそも、月額4~6万円程度では生活はそれ程楽にはなりませんので、過度な期待をするのは禁物です。


他のメリットとしては、別居してお互いに距離を置く事で、冷静に夫婦関係を見つめ直せる機会が得られます。離婚した夫婦の中には、一時の感情に任せて離婚を決めてしまった事例も少なくありません。後になってやっぱり復縁したいと思っても、一度離婚してしまっていると、中々上手くはいかないのが欠点です。その点、別居ならばよりを戻しやすいというメリットがあるのです。

また、別居だと戸籍に離婚歴が付かない(バツイチにならない)事もメリットです。

別居状態だと離婚より不利な点もある


こうしたメリットの反面、別居生活には色々と欠点もあります。その一つが、児童扶養手当が貰えない事です。児童扶養手当とは、母子家庭(もしくは父子家庭)に対して地方自治体から支給される手当ての事で、子供一人の場合、月額4万1720円が貰えるのです。別居で得られる婚姻費用は、養育費よりも2万円程度多いとはいえ、4万円以上もの児童扶養手当が貰えないのでは、あまりメリットとは言えないかもしれません。

シングルマザーが必ず貰うべき手当て

他の欠点としては、好きな男性が出来ても、すぐに結婚出来ない事があります。婚姻関係が続いているが故に、新たな人生のスタートが切れないのは、大きな欠点です。

また、既に完全に相手への気持ちは冷めてしまっているのに、その後も婚姻関係が続くのは、精神的に苦痛を伴います。特に、嫌いになった相手の苗字でいる事は、相当なストレスになるでしょう・・・。

なお、民法第752条によって、夫婦は同居する義務が定められています。夫婦間の合意がある場合は別居も認められていますが、その際の注意点として、別居の理由を明確にしておく事が不可欠です。自分から一方的に家を出て行った場合には、法律上では悪意の遺棄(夫婦の協力義務を怠った行為)とみなされ、後に離婚に至った場合の慰謝料などにも影響してしまうという欠点があります。ですから、別居前には合意書を作成しておく事が重要です。